概要
本日、書評を書かせていただく一冊は、X(旧:Twitter)で鳴き読みで話題の山本悠矢氏が、鳴き読みについて解説した書籍となります。
書籍名 | 誰でもできる!麻雀鳴き読みの定理 |
著者 | 山本悠矢 |
発売日 | 2024/6/5 |
定価 | ¥1,760(税込) |
ISBN | 978-4801940185 |
本の長さ | 192ページ |
総合評価
総合評価 | A |
難易度 | ★★★☆☆ |
対象読者(天鳳) | 7段 |
対象読者(雀魂) | 魂天 |
見やすさ | A |
わかりやすさ | A |
目次
定理1 | チーテンはチー出し周辺が最も危険 |
定理2 | チーテンはチー出し周辺以外のリャンメン待ちは安全 |
定理3 | チーテンは既に切っている中張牌の隣の中張牌の隣の中張牌は安全 |
定理4 | 役牌バックは役牌ポン出し周辺が最も危険 |
定理5 | 中張牌が多く切られているほどポン出し周辺が雀頭 |
定理6 | 強い形からの鳴きが入った場合、それまでに切られた牌が関連する愚形待ちはない |
定理7 | 先にカンチャン固定された部分からチーが入った場合、チー出しが関連する愚形待ち |
定理8 | チー出しで既に切っている牌が再度切られたら弱い形からの切り出し |
定理9 | 1切り →安全牌切り →チーして2切りの2は弱い形からの切り出し |
定理10 | ドラによって否定される待ちが読める |
定理11 | 鳴いていない牌から否定される待ちが読める |
定理12 | 強い形から対子固定した牌をポン →中張牌切りはポン出しとは別の部分が待ち |
定理13 | 強い形から対子固定した牌をポン →老頭牌切りは待ち変え |
定理14 | 弱い形から対子固定をした牌をポン →ポン出しをまたぐリャンメン待ちはない |
定理15 | チー出しが鳴いた部分と同じ色で鳴いた部分をフォローしていない牌の場合は待ち変えを疑え |
定理16 | チーして字牌切りに塔子を作る食い伸ばしテンパイ否定 |
定理17 | 明確な塔子外しに塔子を作る食い伸ばしテンパイ否定 |
定理18 | 6を45でチーして7切りに4は通る |
定理19 | 3を45でチーして7切り、直前に6が切られていたら4は通る |
所感
本の内容は天鳳4~6段、雀魂で雀聖レベルで分かりやすい一方、おすすめ読者は7段、魂天レベルの人とさせていただきたいです。
しかし、本の中では形や特殊な条件の時の相手の手牌を形を読むといった内容で、定理としてパターン化されているため、天鳳4~6段、雀魂で雀聖レベルの雀力があれば問題なく読み進めることができると思います。
一方で、鳴き読みを実践の場で使いこなすには最低、鳳凰卓で打ち込んでいる人や魂天で王座の間で打っているクラスでないと難しいと思っています。他者の手番の時も自分の手牌を凝視して何切るを考えて、リーチが来てから河を見るとか、河は見るけど手出しツモぎり(チー出し、ポン出し含む)までは見られていない人などが麻雀を打っている人の大半かなと思います。
多くの打ち手は本を読んでも内容を使いこなせないのではと考えているため、対象読者は天鳳7段以上、雀魂で魂天とさせていただきました。
特に学びになった点
- チーテンはチー出し周辺以外のリャンメン待ちは安全
まずは、下記の手牌を見てください。
この手から2-5pを鳴いた場合、6p切りとして2-5mが待ちになるが、雀頭が決まっている場合は、わざわざ6pを長く持たない(危険牌先切りで安牌と入れ替える)のではというのが、この定理の考え方です。
麻雀では基本的に雀頭固定をして、メンツのフォロー牌を持つ(特に良型残りの1シャンテンの場合は)ため、チー出し牌が安全牌出ない時は、メンツのフォロー牌と考えるのが良く、その周辺が危険となります。ただし、ターツが愚形残りの場合は、良型作りのために2~8の牌を孤立で持っていることもあるため、愚形にあたることはあります。
↓例えば、このような手だと安全牌と入れ替えずに7mを持ち続けることもあり、2-5pチーでチー出し7mであっても5-8mや6-9m以外の手にも平気であたります。 - 役牌バックは役牌ポン出し周辺が最も危険
ポン出しは通常、ポン出し牌がメンツ候補のターツのフォロー牌か、雀頭のフォロー牌かがわからず、チー出しと比較して待ちが読みにくいという特徴があります。
しかし、役牌バックのポン出し牌は役牌を鳴かなくては役がつかないため、ポン出し牌が雀頭のフォロー牌であることが少なく、ターツのフォロー牌であることが多い。
ポン出し牌がターツのフォロー牌とすると、その周辺が危険になるという理屈です。
例えば、下記の手配の場合は安全牌が来たら、7mと入れ替えるのが一般的です。(6-9mの受け入れを残しても發が鳴けないと上がれないため)
このような7mの持ち方をすることがないため、役牌バックのポン出し牌はメンツ候補のターツのフォロー牌という推理の元、ポン出し牌の周辺を警戒するのが重要です。
まとめ
本書籍は自分の手牌の何切るにはそれほど意識を割かなくても上手く打て、相手の手牌を読むことにもリソースが割けるようになった上級者におすすめの本でした。定理という形でパターン化されているため、しっかりと内容を覚えて、実践をこなすことで、鳴き読みを身につけることができるのではないかと思います。
対人ゲームにおいて、相手の手の内がわかるというのは非常に有利なことなので、上級者の中で勝ち組になりたい人はぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。