概要
本日、書評を書かせていただく一冊は、麻雀上達に役立つ動画をYouTubeにアップロードしている大人気YouTuberで最高位戦日本プロ麻雀協会所属の平澤元気氏が、最も雀力を向上させると考える牌譜検討について解説した書籍となります。
書籍名 | 牌譜検討マニュアル |
著者 | 平澤元気 |
発売日 | 2024/12/24 |
定価 | ¥1,958(税込) |
ISBN | 978-4839987831 |
本の長さ | 224ページ |
総合評価
総合評価 | B |
難易度 | ★★★☆☆ |
対象読者(天鳳) | 4段~6段 |
対象読者(雀魂) | 雀聖 |
見やすさ | A |
わかりやすさ | A |
目次
第1章 | 牌譜検討とは? |
第2章 | 牌譜検討で初心者が見るべきところ |
第3章 | 中級者が牌譜検討で意識すべきこと |
第4章 | 上級者編 |
第5章 | 牌譜検討のあれこれ |
所感
この本は天鳳4~6段、雀魂で雀聖レベルの中級者に最も役立つ本であると感じました。著者がchapter1の4「牌譜検討を『いつ』やるべきか」でおっしゃっている通り、基本的には伸び悩んできたタイミングで牌譜検討をすることに一読者の私も賛成です。
しかし、初心者の場合、伸び悩み原因の多くは基本的な牌効率の知識が不足しているケースがほとんどです。そのため、初心者が牌譜検討をしたところで正しい打牌が分からないといった事象は容易に想像できます。
一方で、上級者の場合は、本書籍に記載されていることの8割くらいは知識として既にある、または既にできていることという印象です。そのため、既に牌譜検討はしていて、概ね見るポイントも決まっている上級者にとっては、やや物足りない内容になっている可能性がございます。
なので、牌効率や押し引きをある程度分かったという段階で麻雀に伸び悩んでいる中級者に手にとっていただきたい本であると思います。
特に学びになった点
- 逆再生は卓の外で学ぶもの
中ポンのポンだし2m、5mを456でチーして8m切りとなった時に、副露者が牌効率通りに打っている場合は、6mが通るということを逆再生で解説いただいたのは非常にわかりやすかった。(6mがリャンメンで当たる時は手牌に45mがあることになるが、その場合、中をポンした後の手牌が244568mとなるため、2m切りではなく8m切りのカン3m受けにしているはずなので、3-6m受けが否定されるということです)
ただし、これは私の雀力(最高天鳳8段)の問題でもありますが、実際の対局でこういった読みで危険に見える牌を通せたことはほぼありません。(私が実際の対局でできる鳴き読みは、役読み、ブロック読み、打点読み、チー出し跨ぎの警戒が関の山です)
これからは、鳴き読みの書籍で知識を蓄え、それに該当する局面がなかったかを牌譜検討で確認するというプロセスで雀力向上を目指したいです。 - 愚形リーチのみになった手順を確認する
上級者になると、愚形リーチのみは手組みの中で避けて、良形リーチや役をつけるといったいわゆる受け入れ枚数以外を重視した打牌をすることもありますが、牌譜検討で愚形リーチのみになった局を本当にその手順で良かったか(愚形リーチのみになる)を検討するという観点は非常に有益な観点でした。
愚形リーチのみを意識的に振り返るというのは、上級者が鳳凰卓や王座の間で勝ち越すためにすべき検討と感じました。
まとめ
本書籍は麻雀の知識はある程度身につけたが伸び悩んでいる中級者の方に特におすすめの本でした。牌譜検討の仕方を中心に学ぶことができ、初心者向けの章のことがしっかりできているかの復習や、上級者になるとどんなことを意識するのかといった中級者という立場だからこそ多くのことを吸収できる書籍になっていると感じました。
一方で、初心者にはやや内容が難しかったり、書籍を読んでも牌譜検討がうまくできない(知識がないと打牌の比較ができないため)ことも考えられます。
とはいえ、雀力向上に牌譜検討が役立つことは確かなので、初心者のうちに本書籍を購入して、来たるべき時の読むという使い方もありかなと思います。
成績が頭打ちになっている方、雀力が伸び悩んでいる方は一度読んでみてはいかがでしょうか。
