概要
本日、書評を書かせていただく一冊は、Mリーグの渋谷ABEMASでドラフト1位指名され、2018シーズンでMVPを獲得された多井隆晴さんが、Mリーグの実戦譜を元に麻雀の手筋を解説した戦術書。
本書では、『必勝!麻雀実戦対局問題集』と『無敗の手筋※』に続くMリーグの実践譜を元にしたシリーズ3冊目の著書となります。
※別の記事にて『無敗の手筋』を解説しておりますので、興味がございましたらこちらをクリック
書籍名 | 無敵の麻雀 |
著者 | 多井隆晴 |
発売日 | 2022/7/7 |
定価 | ¥1,870(税込) |
ISBN | 978-4801931886 |
本の長さ | 176ページ |
総合評価
総合評価 | B |
難易度 | ★★★☆☆ |
対象読者(天鳳) | 4段~6段くらい? |
対象読者(雀魂) | 雀聖くらい? |
見やすさ | A |
わかりやすさ | A |
目次
無敗.1 | 麻雀をやらない局 |
無敗.2 | 通ったスジで待つ |
無敗.3 | 局のテーマを意識する |
無敗.4 | トップ取りの意識について |
無敗.5 | ラスを引かない打ち方 |
無敗.6 | 片アガリの仕掛け |
無敗.7 | ツモ番なしリーチ |
無敗.8 | ホンイツのコツ |
無敗.9 | 6ブロック打法 |
無敗.10 | 早い3、7リーチに注意 |
無敗.11 | 真・配牌オリ |
無敗.12 | 攻守のバランスを見極める |
無敗.13 | 4連形のさばき |
無敗.14 | ドラの切り時 |
無敗.15 | ポン材を過信しない |
無敗.16 | 後悔しない選択をする |
無敗.17 | 仕掛けで相手を縛る |
無敗.18 | 運に恵まれないときの打ち方 |
無敗.19 | 着順を上げるための技術 |
無敗.20 | 麻雀はスタイルよりバランス |
無敗.21 | 仕掛けで相手の出方を探る |
無敗.22 | 違和感のある捨て牌に注意 |
無敗.23 | 打点の見えるリーチへの対応 |
無敗.24 | 親でもオリる勇気を |
無敗.25 | ツモ切りリーチへの読み |
無敗.26 | 条件戦での思考 |
所感
この書籍を読んだ感想としては、前作の『無敗の手筋』よりは学びになる部分が多かった印象です。ただし、想定読者レベルの不明瞭さと体系的な学びにならないことで成長実感を得にくいという前作で抱いたイメージは今回も拭いきれませんでした。
また、無敵テーマの1つにその思考が正しいかと思う箇所がありました。(書籍のイマイチだった点の3つ目に記載しております)
前作同様、立体図がページの上半分を占めていることで、書籍は非常に見やすい構成となっておりました。
特に学びになった点
- 無敵.2 通ったスジで待つ
無敵.2で取り上げられていた手牌が下記画像の通りで、ここから何を切るかなのですが、私はこれまで形で2pを切ってました。2pを残して3mか7mを切った際に 3p受けが残ったとしても、3pを受け入れた際は、發がアタマになるので、3900点止まりとなってしまいます。それよりは、4mか6mの受けを残して、8000点に一番なりやすい形となる2p切りの一手かなと思っておりました。しかし、多井氏は、数巡前に上家が6mを切っているため以降も鳴きやすいこと、(仮に2pを切っていたら)4pまたは發ポン後の最終手出しが3mになるとカン6mが読み筋に入ってしまうことなどを考慮して、3m切りとしたそうです。こういった打牌選択は同卓者がトップレベルの場合は非常に有効だなと勉強になりました。
書籍のイマイチだった点
- 無敵テーマの網羅性はなく、カテゴリ特化でもないため、読後の成長実感を得にくいこと
攻撃トピックと守備トピックが手筋としてランダムで出てくるのと、無敵テーマは26個ということで網羅性もないため、読み進めながら、自身の雀力のどの部分が強化されているのかが迷子になってしまいます。 - 想定読者のレベルが不明瞭かつ無敵テーマの重要度がバラバラであること
テーマのなかに自身の手牌都合の打牌選択に関する初心者向けのテーマ(例:無敵.9 6ブロック打法)のテーマもあれば、自身の打牌洗濯が他家からどう見えるかといった明らかに上級者向けのテーマ(例:無敵.17 仕掛けで相手を縛る)もあり、誰向けの本なのか、誰に読んで欲しいのかがよく分かりませんでした。 - 無敵.10の宣言牌が3・7の場合は好形という回答が、あまり納得できないこと
早い巡目の3・7切りリーチに好形が多い理由として、最終形がカン2sでリーチ宣言牌7sを例にとり、ある程度麻雀を打てる人であれば7sにくっつけて好形にくっつけて好形テンパイを狙いたいと考えるはずと言及しておりますが、5sの受けは被っているし、好形変化は3種類かつ1sを切っても半分は愚形聴牌(5s、7s縦、9s)なので、他部分が中張牌で構成されて、愚形変化3種の内、9s以外はタンヤオ確定といった場合以外は、結構7s切りリーチになるのではないかと思います。
4巡目で7s浮き牌の時には、カン2sの聴牌を取らない可能性が高いと断言できるほどではないと思います。
まとめ
本書籍は多井隆晴氏のMリーグ対局を元に手筋を学べる書籍で、立体図など書籍の見やすさは高い書籍です。
また前作よりは、上級者も勉強になるテーマが多かったように思います。(総合評価も前作はCでしたが、今作はBといたしました)
多井隆晴氏のファンの方は、是非読んでみてはいかがでしょうか。
