概要
本日、書評を書かせていただく一冊は、Mリーグの渋谷ABEMASでドラフト1位指名され、2018シーズンでMVPを獲得された多井隆晴さんが、Mリーグの実戦譜を元に麻雀の手筋を解説した戦術書。
本書では、守備を中心とした麻雀の手筋を一部学ぶことができます。(攻撃も含まれております)
書籍名 | 麻雀無敗の手筋 |
著者 | 多井隆晴 |
発売日 | 2021/6/3 |
定価 | ¥1,870(税込) |
ISBN | 978-4801926851 |
本の長さ | 176ページ |
総合評価
総合評価 | C |
難易度 | ★★★☆☆ |
対象読者(天鳳) | 4段~6段くらい? |
対象読者(雀魂) | 雀聖くらい? |
見やすさ | A |
わかりやすさ | A |
目次
手筋1 | ペンチャン待ち |
手筋2 | 早いリーチへの守備意識 |
手筋3 | 配牌オリの極意・その1 |
手筋4 | 配牌オリの極意・その2 |
手筋5 | フリテンターツ |
手筋6 | シャンポン読み |
手筋7 | 敵のリーチを利用する |
手筋8 | 手牌読み |
手筋9 | 役牌ドラの切りどき |
手筋10 | オーラスアガリトップ時の鳴き |
手筋11 | 脅しの仕掛けを使いこなす |
手筋12 | 七対子を狙いたい場面、狙いたくない場面 |
手筋13 | 放銃して勝つ可能性を高める |
手筋14 | ツモ切りリーチを読む |
手筋15 | リーチの一発目 |
手筋16 | 見逃し・山越し |
手筋17 | オリのタイミングを見極める |
手筋18 | 字牌の切り順 |
手筋19 | 地獄単騎の有効な場面 |
手筋20 | アガリに向かう判断 |
手筋21 | 守備の準備 |
手筋22 | 相手のアクションの意味を考える |
所感
この書籍を読んだ感想としては、一部学びになった部分もあったものの、書籍としての完成度があまり高くないのではないかというイメージを抱きました。
書籍のなかでは、立体図がページの上半分を占めており、非常に見やすい構成となっておりました。(近代麻雀が麻雀本に強いということもあると思います)
特に学びになった点
- 手筋.2 早いリーチへの守備意識では、特に愚形を気をつけなくてはならない点
早いリーチは打ち手の好形変化の意識が手牌に反映されていないケースも多いため、結果的に遅い順目のリーチよりも愚形が待ちに残っているケースが多いという理屈です。(私自身、この事実は意識できていましたが、初学者にとって重要と思い、取り上げました) - 手筋.14 ツモ切りリーチを読む際は、手変わり牌が他家から切られたことを考えるべき点
自身も手変わり牌が切られた際に、ダマテンからツモ切りリーチの判断に踏み切ることはありますが、待ち牌の候補としてそれを利用しようという意識がなかったため、改めてツモ切りリーチを読む際に重要であると学びました。
書籍のイマイチだった点
- 想定読者のレベルが不明瞭かつ手筋の重要度がバラバラであること
手筋のなかに初心者レベル(例:手筋.5 フリテンターツ)もあれば、明らかに上級者向けの手筋(例:手筋.4 配牌オリの極意・その2、手筋.16 見逃し・山越し)もあり、誰向けの本なのか、誰に読んで欲しいのかがよく分かりませんでした。
特に、手筋.4 配牌オリの極意・その2では役満の可能性から消していきましょうという回答があるのですが、他の手筋と比べて、明らかに優先度が低い(雀力向上への寄与度が低い)と感じました。書籍の構想段階で読み手のレベルを設定できていないことが原因と思われます。 - 手筋の網羅性はなく、カテゴリ特化もないため、読後の成長実感を得にくいこと
攻撃トピックと守備トピックが手筋としてランダムで出てくるのと、手筋は22個ということで網羅性もないため、読み進めながら、自身の雀力のどの部分が強化されているのかが迷子になってしまいます。
書籍のイマイチだった点は多井隆晴氏の雀力云々の話ではなく、編集者の構想力が不足していると感じる内容でした。(多井隆晴氏の雀力はプロ雀士の中でもトップクラスな点は補足しておきます)
まとめ
本書籍は多井隆晴氏のMリーグ対局を元に手筋を学べる書籍で、立体図など書籍の見やすさは高い書籍です。
一方で、対象読者のレベルを明確にできておらず手筋の難易度がバラバラであることや、本の構成がイマイチで成長実感を得にくいという書籍の課題があります。
多井隆晴氏のファンの方は、是非読んでみてはいかがでしょうか。
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